1. いぼ
:「いぼ」は風邪などと同じウイルスの感染症で、「うつる」病気です。皆さんがご存じのいわゆる「いぼ」には、手や足にできる硬い「いぼ」(1)と、皮膚の弱い部分にできやすい柔らかい「水いぼ」(2)があります。
(1)「いぼ=疣(いぼ):尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」
:原因はヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス(HPV : human papilloma virus)の感染症で伝染力は弱いものですが、人間にとって害が少ない反面、治りにくいのが難点です。治療のポイントは物理的に「排除する=治療」ことと、「免疫をつける=悪いものだと体が認識する」ことです。
当院では、免疫をつけるために大切なポイントをご説明し、患者さん個々人にあった選択し(飲み薬、塗り薬、液体窒素 etc.)を用意しています。
(2)「水いぼ=伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」
:原因は伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルス(pox virus)の感染症で伝染力が強く、流行しやすいのが特徴です。潜伏期間が約2ヶ月と長いので、免疫がつくまでは友人・兄弟間でモグラたたきのように繰り返しやすい厄介な病気です。治療のポイントはいぼ同様、いかに早く「免疫をつける=悪いものだと体が認識する」か、と「感染予防=接触機会をさける」か、と「排除する=治療」か、です。
当院では、免疫をつけるために大切なポイントをご説明し、患者さん個々人にあった選択し(飲み薬、塗り薬、いぼとり etc.)を用意しています。特に、水いぼを「とる」場合には「痛み」以上に小さいお子さんにとっては治療行為にたいする「恐怖」が先に立つことが多いので、麻酔のテープなど様々な工夫を行っています。
:「水虫」は「真菌(しんきん)(主として白癬菌(はくせんきん))=かび」による感染症のなかで、足に発症(足白癬)したものの俗称です。同じ原因でも部位が変われば「しらくも=頭部白癬(とうぶはくせん)」、「タムシ=股部白癬(こぶはくせん)」などと呼ばれます。昔に比べ、塗り薬の効果も強くなり、飲み薬が使われるようになってからは、かなり治療期間も短くなってきました。
(1)「水虫=足白癬」
:原因は主として白癬菌「Trichophyton属」による感染症で、湿度が高い我が国では5人に1人(20%以上)から報告によっては半数(50%前後)が感染していると言われます。そのため、一度治療をしても再感染の機会が非常に多いのがこの病気のイヤなところです。また、一口に水虫といっても、指の間にできてカユミを生じやすい「趾間型(しかんがた)」や「小水疱型(しょうすいほうがた)」。かかとなどが厚くなりやすい「角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)」などがあり、症状や見た目も様々です。また、一見すると水虫と間違えやすい「汗疱(かんぽう)・異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」などのアレルギー性の病気もありますので注意が必要です。
当院では、まず、顕微鏡検査を行い「水虫=真菌」の存在をもって正しく診断し、塗り薬、場合によっては飲み薬も含めた治療法を行います。実際の治療以上に再感染を如何に防ぐかをご理解いただくことが大切だと思っています。
また、なかなか病院へいく時間がない方でも市販の水虫薬は充分効果を発揮しますので治療は可能です。ただ、正しい診断と治癒判断が難しいことが多いので、最初と最後に来院できればベストでしょう。
(2)「爪水虫=爪白癬(つめはくせん)」
:原因は水虫と同じ白癬菌による感染症です。通常、長期に渡り足白癬を放置することで白癬菌が爪に進入して発症します。当初は爪の先が白く濁ったり、厚みが出たりしますが、痛くもカユくもないので「困らない」ところが「困ったところで」症状がかなり進行し、爪が厚くなりすぎて「靴が履きにくい」「人前で裸足になるとはずかしい」といって来院される方も少なくありません。
当院では通常、飲み薬による治療を中心にしておりますが、他に飲んでらっしゃるお薬が多い方や肝臓や腎臓の調子が悪い方には使えない場合もあります。そんな方でも工夫をしてつけるお薬を中心に治療ができることを説明させていただきます。
:「とびひ=伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」は子供に多い細菌の感染症でうつる病気です。まだ、皮膚が弱い子供に多く、夏場に虫さされなどを掻き壊した後によくできます。原因となる菌の種類によって硬いかさぶたができやすい「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」とやわらかい水ぶくれができやすい「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」があります。
:原因は黄色ブドウ球菌もしく溶連菌(ようれんきん)(溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん))による感染症で、どちらも人間の皮膚に誰もがもっている細菌です。蚊に刺されたあと、掻きこわしができると体液を養分に菌の繁殖が盛んになります。この時、細菌がが出す毒素により皮膚がこわれやすくなり同時にカユミが出ます。当然、我慢できずに掻いてしまうと手には毒+細菌がつき、その手でまた別な場所を触るとそこの皮膚が毒にやられて壊れ、細菌が増殖を始めるという流れでどんどん増えていきます。最近はブドウ球菌によるものが多く、なかでもお薬が効きにくい耐性菌(たいせいきん)によるとびひが問題になっています。当院では、まず、菌の性質を見るための培養検査(ばいようけんさ)を行います。この検査は結果が出るまで1週間以上かかるので結果が出る頃には多くの患者さんは良くなってしまうのですが、前にもお話ししたように、「耐性菌」が増えているので、治療がうまくいかないときにお薬を選ぶ必要性から事前に検査を行います。また、お薬以上に重要なのが、生活上の注意点です。肺炎などと違って、あくまで皮膚の上で細菌が増えることによって悪くなる病気ですから何よりも洗うことが大切です。お薬の塗り方も含めて生活上の注意点を理解してもらえるように説明させていただいています。
:「シラミ=頭虱(あたましらみ)」
:頭シラミとは人間の頭髪に寄生して、頭皮から血を吸って生きる寄生虫です。シラミといえば、戦時中の映像で殺虫剤のDDTをかけられる学童の白黒フィルムを思い浮かべ、劣悪な生活環境と結びつけて考えるかたも多いと思います。実際、生活環境の改善により、見かける機会はずいぶんと少なくなってきていたのですが、ここ最近ふたたび患者さんが増加傾向にあります。ひとつには海外旅行者が増えたため、海外でシラミに感染して、それを日本国内に連れ帰ってしまうことが、大きな原因と考えられています。特に、集団での接触機会が多い幼稚園児や小学生の間での集団発生が話題になっています。「シラミ」と診断された親御さんなどは「不潔・不衛生」な環境を連想し、かなり動揺される方もいらっしゃいますが、色々考えて悲観的になる前にまずは皮膚科にご相談いただくことをおすすめします。
:シラミは大きさ3ミリほどの白〜うす茶色の虫で、頭皮で吸血し、頭髪の根元に産卵(一日に約10個)し繁殖しています。卵は約1週間でかえりますから放置すればかなりな数になります。蚊などに比べると痒みの強くない場合もあるため発見が遅れることもしばしばです。後頭部に近い場所になかなかとれないふけのようなものが増えてきて始めて来院される方がほとんどかもしれません。
当院では、まず、顕微鏡検査を行いシラミの成虫や卵の存在をもって、正しい診断を行い、成虫の駆除方法、卵の取り扱いなどを説明させていただき、感染拡大の予防についてご理解いただくように説明させていただきます。
:「水ぼうそう=水痘(すいとう)」は幼少児の代表的なウイルス感染症でいうまでもなく「うつる」病気です。通常、熱と同時に全身に赤いポツポツができ、水ぶくれからカサブタになって10日前後で治る病気です。
:原因は水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス(varicella-zoster virus)に「始めて」かかることで起きる病気です。とても感染力が強いので友人・兄弟間で次々に拡がることもしばしばです。近年は予防接種も行われているため発症しても軽症の場合がほとんどですが、大人の場合は重症になりやすいので注意が必要です。当院では、症状が強く出てしまうと部分的に痕が残ることもあるので早めに飲み薬による治療を行うことを進めています。また、大人になってから発症すると重症になりやすいので、希望に応じて抗体検査なども行っています。
:「帯状疱疹」は水ぼうそうと同じウイルス(水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス)が水ぼうそうにかかったあとで、神経の根元にこっそり住み着き、体に負担がかかったときなどに神経を壊しながら伝わり、皮膚まで出てきて発疹を作る病気です。古くは、有名な怪談にでてくる「お岩さん」がこの病気にかかったと考えられています。症状として、まずは「痛み=神経痛」がでてきて、一週間ぐらいしてから皮膚に発疹をつくりますから当初は整形外科や内科の先生に相談される方が多いようです。
:原因は神経の根元(神経節など)に潜伏感染していた水痘帯状疱疹ウイルスが免疫力の低下や過度のストレスなどにより再活性化し、増殖したウイルスが知覚神経を壊しながら伝わり皮膚へ到達して発疹を作ります。通常皮膚の症状を含め2週間前後で良くなりますが、神経痛が残ってしまうことがしばしば問題になります。神経痛が残らないよう出来るだけ早期にウイルスを抑える薬を使用することが大切です。加えて痛みの治療が重要になります。
当院では、ウイルスを抑えるお薬とともに、神経痛に対する飲み薬や局所療法を組み合わせ早期に痛みから解放できるよう努めるとともに、発症のきっかけとなる病気が隠れていないか、注意して診療を行っております。
:「ヘルペス」という言葉は何らかの形で耳にされる機会のある言葉だと思いますが、一口にヘルペスと言っても、実は症状として現れる形には実に様々なものがあります。最も一般的なのは「熱の花」とも言われる「口唇ヘルペス」ではないでしょうか?これは、風邪などをひいて体力がなくなったりしたときに唇の周りのある一部に小さな水ぶくれの塊を作る病気です。口唇ヘルペスにかぎらず、色々な場所にできるヘルペスは予防も含め正しい理解を必要とするうつる病気です。
(1)「熱の花=口唇ヘルペス」
:原因は単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)T型の再活性化により起こるとされています。このウイルスは多くが最初に感染したときは無症状で、神経の根元に潜伏しています。風邪をひいたり、強い紫外線などを浴びることで抵抗力が下がるとウイルスが目を覚まし神経を伝わって皮膚に小さな水ぶくれを作ります。帯状疱疹などに比べ、繰り返しやすいのが特徴で、人によっては毎月のように出てしまう方もいらっしゃいます。当院では、ウイルスを抑えるための飲み薬・塗り薬により治療を行うとともに、生活習慣も含めた再発予防の為の適切なアドバイスができるよう努めています。
(2)「陰部ヘルペス」
:原因は主として単純ヘルペスウイルスI、II型への感染、もしくは再活性化により起こる病気で、性行為感染症として考えられる側面があります。特に、再発の場合はU型が多いとされています。当院では、口唇ヘルペス同様に治療を行うとともに、場合によっては再発予防を目的とした長期内服療法を行うこともあります。加えて、性行為感染症であることへの理解を求め、再発・他者への拡大予防を含めたアドバイスを行うように努めています。
